アレも無い、ソレも無い、地方生活。断捨離と同じく、だから見えてくるコトつれづれ

手を伸ばしてお金さえ払えば何でも手に入りそうな東京から岡山の寂れた港町宇野(玉野市)にやってきて2ヶ月が経過した。

お断りしておくと、人様のために書いていたというより、自分の頭の中の整理をするために書いてます。

溢れる街と枯渇する街のギャップを楽しむ

東京で生活している4ヶ月の間は、Googleマップを開いて検索すれば複数件の選択肢が与えられたが、ここ宇野(玉野市)には予想通りではあるが、なかなか選択肢が少ない(探したけれども見つけてないだけかもしれない)。以下は例えばだが

・古着屋がない。
・カレー専門店が1件。
・若者向けファッションショップがない。
・シナモンロールとカヌレ(コンビニやスーパーにはある)を置いてない。
・洋食専門店がない(昔ながらの喫茶店はある)
・スポーツ用品がない(マリンスポーツ・釣り・ゴルフのみ)
・シューズショップ(STEP・ABC-MARTみたいなの)がない
・定食屋は宇野に1軒ほど (並ばないと入店できない)
・朝ご飯を食べるところが宇野に1〜2軒
・食の選択肢が少なく例えばファストフードや牛丼屋が極端に少ないため「今日はランチを500円以内で済ませたい」という選択ができないので、毎食最低800円以上(ハンバーガーや定食ですら)
・昼飲みできない(昼からやってる居酒屋はなく、定食屋などでビールを飲むのは、混むので気を使う)
・立ち飲み屋がない
・スイーツ屋さんがない (昔ながらのケーキ屋さんはある ごほうびスイーツはコンビニとなる)
・娯楽がない(カラオケ店1件 カラオケ喫茶やスナックはある パチンコ店 3件 でも競輪場はある)
・映画館・ライブハウス なし
・宇野(玉野)産の何かを食べれる飲食店やご当地名物などもない(岡山の名産品なども手に入れにくい)

ないものねだりしても仕方ないのだが、高度化した資本主義流通から外れていたりして競争原理が働きにくいのか、物価はけっして安くはないのも低所得層としてはツラい。

とはいえ、マクドナルド、すき家、無印良品、しまむら、イオン系列スーパー、業務スーパーなどが市役所界隈には存在するので助かっている(結局マネーは大資本に吸い取られ地元にはお金が落ちにくいのだが)。つまり生活密着店舗はある。ちょっとオシャレしたいとか贅沢したいとか楽しみたいといったニーズと言うよりはウォンツを満たしてくれないのがこの街といった感じ。実際岡山市内へ1時間ほどかけて出ると、飲食・ファッション・娯楽となんでも揃ってるのでウォンツを岡山市が吸収してくれる。

一番の問題は「仕事がない」ではないだろうか。実際に求人サイトのインディードで「玉野市×正社員」で検索してみると、ほとんどの仕事が製造業か施設管理業などで数件しか出てこない。他の職業はバイトやパートのみだ(よその地方もそんなもんだと思う)。ところが、玉野市に蓄電池製造工場では国内最大級の工場ができるらしい。これは雇用が見込まれる明るいニュースだ。が、「2028年までに100人超を採用予定」って国内最大級の工場にしては少なくないか?事務方も入れて押し並べて年間25人ほどの採用か。今どきの工場ってやはりロボット化されて労働者は少ないんでしょうね。仕事もだんぜん岡山市内の方が多い。

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仕事もウォンツも近隣に依存して消滅可能性自治体に

最近のニュースで玉野市もこの消滅可能性自治体にランクインした。岡山県では10の市と町で、玉野市・笠岡市・井原市・高梁市・新見市・備前市・真庭市・美作市・久米南町・吉備中央町。他の地方都市と同じく、ただ暮らすだけの街というのは消滅するのは明らかだ。「え、暮らすだけでいいじゃん、暮らしやすい街っていいじゃん」ってほんとその通りだと思うけど、みんなが暮らすためにはインフラ維持(公共サービスや病院や学校なども)つまりマネー(税金も)必要だ。

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だからといって、ここに都会のトレンドなものや大資本がたくさん入り込んでも、寂れたこの街が好きで自らの意思で覚悟を持って移住してきた人は出ていくかもしれない。

移住者が多い街には、まず人が集ったりちょっと仕事ができたりするコーヒーの美味しいカフェができて、更にはちょっと美味しいパン屋ができる。観光客も増えて、生活からかけ離れた高級なスイーツ店なんかが出始めると、その頃から街の面白みがなくなっていく。というような話を聞いたことがある。と原住民と移住者と観光客について考えさせられる。どうやら街の発展と衰退との均衡バランスが生活者にはあって、生活者最適解があるのかも。

こんなことは、地方に暮らしたり地方の人口減少の課題を取り組む人は日々当たり前に考え苦労されているとは思うけど、地方暮らしの課題は外からや観光客からはとても計り知ることはできなさそうだ。

余談だが、昨夜ゲストさんと話していて出てきた一つのポイントは「チョコザップが街にできると、消滅可能自治体から抜け出すサインかもしれない」という推測。

バックパッカー目線で考えてみる

これらの地方の課題などを直接的になにか役に立てることはなく、ここで課題解決を試みても仕方がない。

旅しながら生活すること(ゆくゆくは海外も含め多拠点生活を視野に)を考えているので自然と断捨離せざるを得なく、いかに少ないモノで生活し移動するかというシンプルなライフスタイルになっている。

地方暮らしの良さを最大限に活かし、不便さを最小限にするのが豊かな暮らしのスタイルになりそうだ。地方暮らしは、無駄にお金を使う場所が極めて少ないのがありがたい。不便さもメリットにさえ変わる。そもそも現代はネットショップで何でも手に入るわけだし。あるいは当たり前だが、モノが欲しければ、モノがあるところに自らが動くしかない。アクティブになって良い。結局は、あるもので済まそう、ないものねだりしない、という風になってトランク(今回はバックパックじゃない)とサブバッグひとつで移動できてしまう。

モノが多い豊かさとモノ以外で心を満たす豊かさと、人により尺度が異なるけど、ボクは後者をとったわけだ。バックパッカーと断捨離と地方暮らしはきっと相性が良い(ような気がする)。

それでも不足しているモノではなくコトって?あるな。

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