オーバーツーリズムの観光地でのフリアコ

フリアコ生活も東京から始まり1年を経過しました。岡山や宮崎でのフリアコを体験しつつ、現在は世界遺産でもある日本三大景勝地の宮島(厳島)に来ています。

宮島の一大観光地はもちろん厳島神社です。

その厳島神社の入口までわずか徒歩約5分に位置するゲストハウスにフリーアコモデーションとしてお世話になっています。

この宮島ですが簡単に説明しておきますと、広島駅から在来線で30分ほどの廿日市市にある宮島口という駅でフェリー(1時間に4〜5本ほどある)に乗り換えると10分ほどで宮島桟橋に到着です。ここから厳島神社までは、ほとんど交通機関がなく徒歩のみ(コミュニティバスは本数がめっちゃ少ない)で15分ほどかかります。この間はお土産屋さんや飲食店が軒を並べる商店街となっていて、観光客で賑わってます。

まだ着任1ヶ月ですが、この観光だけで成り立っている島でのフリアコの暮らしや観光地の裏事情や「住んでみた観光地」やビジネスチャンスなどについて見聞きした情報をまとめてみます。ただし、調査やアンケートを踏まえたものではなく、あくまでも雑感の記録です。

客層は東京と似ていて偏りが少ない?

まずは宮島に来訪する観光客とお世話になってるゲストハウス三國屋に宿泊するゲストについてです。

宮島に来訪する観光客は外国人が多く日本人も圧倒されるほどの数で、特に西洋人が多く見受けられます(コロナ前は中国人が多かったと聞きます)。団体客も多く外国人でも同じワッペンを胸に付けてるグループや小旗を持った先導者のいる一軍もいたりします。日本人観光客も11月に入ってから修学旅行生と見られる団体が集団でまたは商店街などに三々五々見受けられます。観光客はなかなかカテゴライズしずらく数は多いがその出身も多種多様で特徴がつかみにくいのも東京と似通っているのかもしれません。比較すると韓国やムスリムの観光客が少なく感じます。

そして聞いた話によると、来島した観光客のうち宿泊するのは10%にも満たないらしく、外国人観光客の多くは京都や大阪からの日帰りか広島市内に宿泊するのだそう。この理由は後ほど推察したいです。

ちなみにデータで見ると2023年の来島者数は465.2万人でコロナ前の2019年465.7万人に並びます。

https://www.city.hatsukaichi.hiroshima.jp/uploaded/attachment/78915.pdf

宿泊者数は一般社団法人宮島観光協会の宿泊施設一覧の収容人数を合計すると2050人弱(島外にある宿泊施設を除く)になる。

このデータから計算すると来島者の10%どころか1%も宿泊していないのが現状のようです。

お世話になってるゲストハウス三國屋の観光客を見ると圧倒的に外国人が多く、家族やカップルや数名のグループなどが多い。ソロバックパッカーが少ないのも特徴です。国で言うとフランス人とドイツ人が多く感じますが統計的な数値ではありません。ドミトリーが少ないことや宿泊する客層やコモンルームのテーブルの並べ方などにより、他のゲストハウスのようなゲスト同士やゲストとスタッフ間の交流が少ないのも特徴です。

なぜ宿泊しないで日帰りするのか?推察するに、まずは宿泊施設不足。それと、必然的に宿泊の必要を感じないからだと思われます。現在のところ宮島に宿泊するのは、「厳かな雰囲気の中で静かに過ごしたい」層の人だけなので、それ以外は宿泊しないと思われます。例えば夜の食事はホテルや旅館でしかできません。18時以降(早ければ17時以降)はレストランや食堂はほぼ全て閉まってしまいます。昨年できたコンビニでさえも21時半には閉まります。ですので、「今夜は肉を食べたい」とか「和食は飽きた」という外国人やヴィーガンの人や、その時の気分やお腹具合で食事を決めたい人にとっては、強制的にホテルや旅館の都合で食事を出されるのは向いていません。そしてホテルや旅館でお酒は調達できても、コミュニケーションの無いお酒になるので開放的な欧米人にとっては、少し物足りないかもしれません。

そんな宮島の観光は厳島神社以外はないの?って感じですが、あります!例えば大聖院。空海が西暦806年に唐から帰国し開基。ダライ・ラマ14世が開基から1200年の節目を祝うため訪れたことでも、いかに由緒のある寺院であるかが分かります。そしておすすめの神社が豊国神社(千畳閣)。かの秀吉が命じて着工したけど857畳分の広さの未完の建物。風通しが良く眺めも良く比較的内部は観光客が少なく(季節によると思います)休憩にもってこいな場所でした。一番のおすすめは弥山(みせん)登山です。代表的な3つのコースがあり一番ポピュラーなのが紅葉谷コース。標高は500mほどなので、普段の運動不足解消にはちょうど良いくらいです。頂上の展望台からは瀬戸内を一望できます。となりの駒ヶ林の山頂はもっとおすすめです。商店街の食べ歩きも楽しいですよ。

この小さな島に今日もフェリーが到着するたびに、多くの観光客が吐き出されてきます。

儲かっている観光地でのフリアコは裕福

オーバーツーリズムの観光地でのフリアコはどんな生活をしているのか?予測してましたが、最初は正直とまどいました。なぜって、現地の人が食事する食堂やスーパーマーケットなどがなく、いわゆる観光地のレストランや食堂しか無いから。そして夕方になるとそれらのお店も全て閉まってしまうから。

ご飯に困らない

そんな観光地の食事事情を見越して、お世話になってる宿では朝ご飯(シリアルと食パン)と夜ご飯(毎晩カレーライス)はフリーで提供してくれているので、ご飯に困ることがありません。キッチンもあるので自分で調理も可能です。食材は離島価格の商店が数店舗あるので、高いですが手に入ります。

めちゃ設備が整ってる

まず設備やゲスト向け娯楽ツールが充実しています。大型画面テレビは他でも見ましたが、ギターやピアノまであります。時々ゲストが奏でたり拍手が起こったりしています。

そして、清掃などは機械化できることは機械化(ロボット化)してスタッフの仕事を一部軽減化しています。例えば自動掃除機や自動窓拭き機や自動食器洗浄機など。

観光がらみの仕事に困らない バイト(タイミー)が多い

宿(ホテルや旅館)が多く、飲食店も多く、そしてどこも人手不足なのでタイミー(スキマバイト)が多くあります。仕事の多くは、宿の清掃か皿洗い、飲食店のホールなどです。

ボクもモノは試しと宿の清掃をやってみました。若い人に人気のホテルや昭和天皇や安倍元首相が宿泊したりG7の食事提供した旅館や明治創業の旅館、修学旅行生受け入れの国民宿舎や個人旅館まで多種多様な宿に潜入してみました。仕事内容は宿により異なりますが、2時間くらいの皿洗いやシーツ剥ぎと布団仕舞いなどの短時間のものから、4〜6時間の部屋清掃や共用部清掃までありました。

物価の高い離島価格を補うためには、ありがたいお気楽バイトです。が、閑散期(1月後半から2月)は全くなくなるようですので念の為確認してくださいね。

観光地のみで成り立つ街では生活費が高い

「地方は競争原理が働きにくいので、物価が高い」というのが予測でしたが、やはり地方での生活は、食料品や生活必需品を含め高めの品が多いです。特にこの宮島においては顕著です。フリアコ旅を始めてからなるべく、その地の人が営むなるべく個人店で消費したいと思っていますが、生活費を考えると、スーパーがあればスーパーで、コンビニがあればコンビニでと、ついつい資本主義が高度化した企業などのチェーン店で消費してしまいます。しかしこの島にはスーパーもドラッグストアもありません。買い物は島に数軒ある食料品店などで購入します。

が、島価格は厳しいです。さすが厳島(いつくしま)。島価格でビックリしたのは、トマト一玉300円 キャベツ一玉680円。恐ろしくてサラダなんか作れません。

こんなお店もあります。よそ者には売らない肉屋魚屋さん。「よその人に売って身体でも壊したら困るから」「ここにあるのは全部取り置き」 と、見知らぬ客が入ってくると睨みつけるお店など。京都よりきついかもしれません。

この島では「お客は勝手にやって来る」「勝手に増えるもの」というような、以前は都会で栄えた商店街でも見られたような伝統的昭和スタイルがこの島ではまだ息づいてます。

島内に住む人にとっては、外食しても財布にキツいし自分で材料仕入れて食費を切り詰めようとしてもキツいという環境です。

観光地のみのこの街にはコミュニティが無い?

結論からすると無いこともない。

しかし閉鎖的かつ伝統に基づいた行事などを遂行するためのコミュニティ(これはこれで大事)。例えば町内のお祭り(地鎮祭)やお神輿担ぎのために、人が集まるいわば町内会的なコミュニティ。また、厳島神社で12月31日に行われる鎮火祭で使われる松明(たいまつ)を奉納するため、松明をみんなで作る集まりなど年に何回かいろいろあるようです。

ちなみにお世話になってるゲストハウス三國屋は、この地鎮祭へは開業11年目にやっとお誘いいただいたそう。(ボクは、そのお祭りに奇跡的かつありがたいことに、餅つきと神輿担ぎで参加させていただきました。)またお世話になってるゲストハウス三國屋は、松明を作る集まりにゲストの外国人やスタッフを参加させたかったけど、やんわり断られたようです。

島で働く人達はほとんどが島の外からやって来る人か寮に住み込みで、仕事が終わると島から帰っていきます。残るのは宿や飲食店、土産物屋の店主や経営層やその家族。みんな一国一城の主なので隣はみんなライバル。仲良くコミュニティ作りとはいかないのかもしれません。

そんな宮島の一国一城の主たちの間でここ数年話題となってるのは「高級ホテル誘致」問題で、宮島の東にある自然公園を民間事業者(高級ホテル)に貸して観光化をすすめたい廿日市市、に対して一国一城の主たちが一致団結して「自然保護」を盾に反対(自然に戻す)を唱えている。よくある話で仲が悪かったとしても外的襲来となると一致団結するパターンのようです。現在まだ結論は出てない(結論は市が決めることで地元住民に意見を聞いただけという立場らしい)ですが、そうこうしている間に厳島神社の対岸に日本では2軒目のヒルトンの更に上位高級クラスホテル建設が発表されました。今後もガヤガヤしそうです。

チャンスだらけの宝島

面白い論文を見つけたのでシェアしておきます。いろいろ納得です。

「SDGs で考える宮島の課題と宮島訪問税」

https://h-bunkyo.repo.nii.ac.jp/record/436/files/global6%28matsubara%29.pdf

さて、以下は宮島に住み始めたばかりながら、集まってきた情報を羅列しました。いろいろなチャンスが転がっているように思いませんか?

●島にタクシーは1社1台だけ(しかも火曜木曜は休みw)

●レンタルリネン業者が1社だけ

●病院は1軒で診療時間内のみ

●島に1つのローソンも21時半に閉まる(フェリーの最終便までに閉店しないと従業員が帰れない事情)

●基本的に飲食店は夕方6時には閉まる

●観光向け以外の飲食店がほとんどない

●大手チェーン店はローソンとスターバックス以外は今のところない

●最寄り駅からフェリーに乗り換え後、徒歩20分のゲストハウスも日常的に満室(閑散期は休業)

●宮島とは関係のない「カレーライスと唐揚げとビールのセットで2500円」で行列ができるお店がある

●本屋・古本屋・レコードCDショップ・映画館・古着屋などサブカル系店舗がない

観光以外のビジネスがないのです。

まとめ

とにかく観光客は押し寄せる。人手は慢性的に足りない。働き手はほとんど島の外からやってくる。

起業は微妙だが、物件さえ抑えられれば店舗開業には向いているかもしれない。

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